目に見えるものはすべて真っ暗で。
未来なんてないと思っていた。





01.舞い上がれ光の雫





好むのは暗闇。
光に慣れていなかったから、明るいところには慣れていない。

だけど、ただひとつの眩しいものがあって。
その光には途惑わずに近づきたいと思う。
傍にいたい。


「俺はお前がいなければ、きっと暗闇のどん底にいるままだった」


暗闇の中できらきらと光るもの。
すべてから掬い上げてくれるように優しくて、あたたかくて、失えないもの。


「本当ですか? 私も、同じこと考えてました」


辛くて苦しくて哀しくて。
居た堪れない想いだけが募って。

何度も諦めようとして、だけど、いつでも小さな光が照らしてくれた。


「…同じことを?」


負けないで。 負けないで。
そう聞こえてくる。
励ましてくれる小さな光。


「私はあなたに救われました」


舞い上がれ、僕らの勇気。

たとえどんな暗闇にいても、今ある輝きだけは失くさない。
立ち上がることはやめない。
諦めることはしない。

いつでも照らしてくれるなら、また頑張れるから。


「……ありがとう」


その一言でまた前へ進める。





舞い上がれ、僕らの光。










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飛影を救ったのは雪菜ちゃん。 そして、雪菜ちゃんを救ったのは飛影。
ふたりの性格は違うけれど、哀しみや苦しみ、心の闇はふたりとも同じくらい背負ってるんじゃないかなと思います。
だからふたりだからこそ、バランスよく支えあえるんじゃないかな。
2007*0903