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いつかこの身が煉獄の炎に焼かれて消えたとしても、後悔はしない。 お前に会うことができたから。 06.燃え尽きて消えてなくなっても 「このあいだ永吉さんがいなくなっちゃって大変だったんですよ」 「永吉…?」 「みんなで捜し回って大騒ぎでした。 でも…」 「待て。 誰だ、永吉って…」 「前にも話しませんでしたっけ? 猫ちゃんですよ」 「…また猫の話か。 猫なんかに敬称つけるなよ」 「そうはいきませんよ。 大切な家族ですもの」 「……」 にこりと笑う雪菜に、飛影は返す言葉がなかった。 「飛影さんも猫ちゃんと暮してみてはいかがですか?」 「…俺に飼えって言うのか?」 「可愛いですよ」 「俺には無理だな。 世話などできん」 「毎日楽しくなりますよ?」 「俺にはお前がいるからな。 お前で手いっぱいだ」 「…!」 「まぁ、気まぐれでない分猫より優秀だがな」 「…なに言ってるんですか…」 頬を染めて抗議の眼差しを向ける雪菜に、 飛影はただ勝ち誇ったような笑みを向けるだけだった。 この幸せは一生続かないかもしれない。 俺には盗賊としての過去と罪がある。 背負わなければならない罪と、贖わなければならない罪がある。 だから、俺の行き先は間違いなく地獄だろう。 今ある天国のような日々は、きっと通過点。 生まれてきたことが罪だなんて、そんなくだらないことはもう考えない。 だけど、生まれ落ちたあとにしてきたことは、間違いなく俺自身の責任だから。 どんな罰が待っていたとしても、潔く受け入れてもいい。 「ねぇ、飛影さん」 「?」 「どこにも、行かないでくださいね」 「…!」 なんでも見通されているような瞳に飛影は途惑った。 偶然か、それともわかって言ってるのか。 「私、飛影さんがいないと生きていけませんから」 「…大袈裟だな」 「大真面目ですよ?」 「……」 雪菜はとびきりの笑顔で飛影に言った。 「最後まで面倒見てくださいね?」 過去を償おうと思えるのも、幸せだと感じられるのも、雪菜と出逢えたから。 生き方を変えてくれたのは、その笑顔。 だから、守りたいんだ。 飛影は雪菜の頭をくしゃりと撫でた。 「…任せとけ」 いつかこの身が燃え尽きて消えてなくなってもいい。 覚悟はできてる。 大切なものなんてないと思っていた。 手に入らないと諦めていた。 だけど、今、傍にある。 お前が笑っていてくれるなら、この命に後悔はしない。 だけどもし、俺が消えて雪菜が泣くなら、そんな姿は見たくないから。 雪菜の時間が潰えるまでは、傍にいたい。 どんな地獄だとしても、どんな罰だとしても、受け入れるから。 「で? 結局永吉はどうなったんだ?」 それくらいの我儘なら、いいだろ? -------------------------------------- 飛影は雪菜ちゃんに会って人生が変わったんじゃないかと思います。 だから、自分の過去を省みたりもするんじゃないでしょうか。 それを受け入れたとしても、雪菜ちゃんとの出逢いがあったから構わない。 うちの飛影はそんな風に考えてる人です(…人じゃないか・笑) あ、永吉さんは無事にひょっこりと帰ってきたそうですよ(笑) 2007*0922 戻 |