この想いをなんと名づけよう。 ひとめ会えるだけで嬉しくて、ひとこと話すだけで幸せで。 毎日あなたのことを考えて、毎日ふわふわしてるの。 06.探してください、私の初恋 「雪菜ちゃん、こーゆーのどう?」 「わぁ、可愛いですね。…でも、私に似合うでしょうか?」 「似合うわよ!イメージ通り」 「こっちのも可愛いんじゃないかい?」 「それは…短くないですか…?」 新しい服がほしいと言った雪菜に付き添って、螢子とぼたんも一緒に買い物にやって来た。 ふたりが次から次へと服を勧めてくるので、 雪菜は選択肢が増えすぎてなにを買ったらいいのか決められずにいた。 「雪菜ちゃんがおしゃれに興味持ってくれて嬉しいわ。こうして一緒に買い物できるしね」 「静流さんに聞いたよー。最近はファッション雑誌も読んでるんだって?」 「は、はい…。せっかく人間界にいるんだし、可愛いお洋服着たいなと思って…」 本当は、それだけじゃないの。 「でも、自分に合ってるものって全然わからなくて…」 「うーん、雪菜ちゃんはふんわりした感じの服が似合うんじゃないかな」 「そうだね、レースとかフリルとか?あ、これなんかどう?」 「可愛い…」 「このシフォンのも着てほしいかも。ってか、雪菜ちゃんならなに着ても似合いそうだけどね」 「え、そんなことないですよ…!」 「もう今日はパァーっと買っちゃいなよ!何着あっても困ることはないしさ!」 ふたりにだけでなく、店員にもたくさん勧められ、その都度に可愛いと思ったものは手に取って。 そうこうしているうちに、雪菜の荷物はどんどん増えていった。 買いすぎだと思いながらも楽しくて、ついつい手が伸びてしまう。 やはり自分は変わったのだと雪菜は思った。 だって、見てほしい人がいる。 「あ…」 「?どうかした?」 そろそろ帰ろうとショッピングモールの出口へと向かいだしたとき、突然雪菜が足を止めた。 見ているのはあるショップのショーウィンドウ。 そこに飾られていたのは、白いワンピース。 レースの付いた裾には、薔薇の模様があしらわれている。 「あの、これ買ってきてもいいですか…?」 「いーよ。荷物持っててあげるから、買っといで」 「気に入ったの見つかってよかったね」 「はい。ありがとうございます!」 考えているものはただひとつ。 今日一日中ずっと同じことを考えていた。 どうしようもないくらいに同じことしか浮かばない。 可愛くなりたいのは、ただひとりのため。 薔薇、なんて安易かもしれない。 だけど、好きだと言っていたから。 私も好きだから。 あの人を連想させる、少しでも近づけそうなものだから。 「いらっしゃいませ。なにかお探しですか?」 「あの…外に飾ってあるのと同じワンピースください…!」 いちばん最初にあなたに見せよう。 この気持ちをなんと名づけよう? そう、きっと、これが私の初恋。 やっと見つけた。 ------------------------------------------ 蔵馬さん一切出て来ず(笑) 好きな人のために可愛くなりたいと思うのは、自然なことですよね。 恋した雪菜ちゃんにはますます可愛くなっていってもらいたいですvv いやー、それにしても薔薇のワンピースって超安易!(笑) 2007*0921 戻 |