「煙鬼のおっさんに頼まれた任務があんだよなー」
「…だから?」
「手伝ってくれね?」
「ふざけるな。 興味ないな」

俺は無関心だ。 何事も。





08.自分を取り戻したい





「そんなつれねェーこと言うなよ」
「俺には関係ない」
「一刀両断かよ…雪菜ちゃんに言いつけてやる」
「…! なんで雪菜が出てくるんだ」
「だってお前、雪菜ちゃんの言うことだったら聞くじゃん」
「…気のせいだ」
「ふーん」


幽助の含みのある視線から逃れるかのように、飛影はそっぽを向いた。
そんな反応が幽助には面白くてたまらない。


「雪菜ちゃんどんどん綺麗になってってるぜ」
「……」
「心配じゃね? お兄ちゃん?」
「うるさい。 俺には関係ない」
「へぇー。 じゃぁ、雪菜ちゃんに彼氏が出来ても気にならないんだ?」
「……」
「俺狙っちゃおっかな」
「殺すぞ」


間髪入れずに出た、釘を刺す言葉。
その言葉で幽助がにやにや笑っているのを見て、飛影はしてやられたと思った。


「オメェー、ホント雪菜ちゃんのことになるとペース崩れるよなぁ」
「……」
「なのに、やっぱ名乗んねェの?」
「…あぁ」
「なんで?」
「名乗る必要がないからだ」
「それがよくわかんねェーんだよな」
「お前には関係のないことだ」
「結局それかよ」
「……」
「今から雪菜ちゃん呼んでいい?」
「やめろ」
「冗談だよ。」


今ふたりは魔界にいる。
人間界にいる雪菜を呼べるはずなどなくて。
なのに本気で返してくる飛影が幽助には面白かった。


「……わかった」
「あ?」
「手伝えばいいんだろ? どんな任務だ」
「マジで? 手伝ってくれんのか?」
「その代わり、二度と雪菜の名前は出すな」





雪菜のことになると調子が狂う。
ペースが乱れる。
いつもの自分でいられなくなる。


だから、考えないようにしてるんだ。
ただでさえ、心のほとんどを占めているのだから。









俺は無関心だ。

雪菜のこと以外は。



だから、いつも自分を取り戻すのに必死なんだ。










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関係ない、と飛影は3回言いました。笑。
雪菜ちゃんのことになるとなんでも必死になる飛影だから、
いつも平常心を保とうと頑張ってるんじゃないかと思います。
そしてそれをいつも幽助や蔵馬さんにからかわれるので大変です(笑)
からかっている幽助に飛影が強い態度で出れないのは、
幽助があとで雪菜ちゃんに「飛影にいじめられた」と言いつけるからです(笑)
2007*0929