あなたのために
陽の光に照らされて輝く綺麗な髪に、そっと触れた。
「雪菜ちゃんって、髪下ろしてるといつもより大人っぽく見えるね」
「…そうですか?」
「そうですよ」
笑いながらそう言うと、彼女は少し照れたように視線をそらした。
「…本当は、この方が蔵馬さんとつり合うかなって思って…」
その言葉に、思わず髪を弄んでいた手が止まった。
彼女は視線をそらしたまま、頬を染めてうつむいている。
その言葉もその仕種も可愛くて、堪え切れずに抱きしめた。
2008*1112