call my name




長い夢を見ているようで。
闇の中にいるようで。


けれど、その声だけが現実。




「お願いが、あるんですけど…。」
「お願い?」
「名前を呼んでください。」
「……名前? お前の?」
「はい。」
「なんでまたそんなこと…」
「呼んでください。」
「……。 …雪菜。」
「もう一回。」
「…雪菜。」
「もう、一回。」
「……どうしたんだ?」




今ここに私はいますか。
存在していますか。


周りがひどく不鮮明で、なにも見えないの。


けれど、その声だけが現実。




「もう一回、呼んで?」






2006*0822