膝枕




ソファの背凭れに身を預けて小さく息を吐いたのを、雪菜は聞き逃さなかった。


「疲れが溜まってるんじゃないですか?」
「…そんなことないよ。」
「顔色、あんまりよくないですよ。 ちゃんと寝ました?」
「ん、昨日はちょっと忙しくて…。」
「やっぱり。」


雪菜は困ったように蔵馬の顔を見ていたが、なにか思いついたのか笑顔になった。


「はい。」


そう言って自分の膝を指す。
蔵馬は不思議そうに雪菜の顔を見た。


「どうぞ。」


なおも笑顔で膝を指し示す雪菜の意図を、蔵馬はやっと理解した。


「…そんなのどこで覚えてきたんですか…。」


苦笑して蔵馬が言うと、幽助さんと螢子さんがやっていました、と雪菜は笑った。
呆れながらもくすぐったい気がして、一瞬躊躇ったけれども、
蔵馬は雪菜の膝に頭を預けた。 雪菜が蔵馬の髪を優しくすく。
蔵馬が心地よい眠りに誘われるのに時間はかからなかった。






2006*1112