気づいてくれるよね?




ふと目が合った瞬間に、言ってみようと思った。


「好きだよ。」
「私も蔵馬さんのこと好きですよ。」


真面目な顔して言ったつもりなのに、
彼女は満面の笑みを浮かべているだけだった。
本当に気づいていないだけなのか、うまくはぐらかされているのか。
前者だと信じて、引きよせて額に口づけを落とした。


「さすがに、わかりますよね?」


そう言うと彼女の頬がみるみる染まっていく。
途惑いがちに見上げた瞳とぶつかった。


「……私も、好きです。」


その上目遣いに勝てる気がしなかった。






2006*1110