なにも知らなかったら、きっと楽だったのに




「好きです。」
「え…?」
「あなたのことが、好きです。」


突然の告白に、機能しない頭。
予想もしてなかった展開。


「ずっと、想ってました。」


初めから対象外にしていた。
だって、彼女のことを強く想う人を、知ってる。
横取りなんて。


「…ごめん。」


たった一言で終わる、気持ち。
終わらせた、想い。
傷ついたような顔をしながら君は微笑った。


「初恋は実らないって、本当なんですね。」


彼女のことを強く想う人を、よく知ってる。
だから、裏切るなんて。


これでいいんだと、無理やりにでも納得させた。






2006*0819