おかえり




「え? 幽助さん、また魔界に行ったんですか?」
「どうしようもないわよねー、あの戦闘バカは。」


いつだって勝手に行って、いつだって勝手に帰ってくる。


「…淋しく、ないですか…?」
「…淋しいよ。 でも、アイツは絶対帰ってくるし。」
「信じてるんですね。」
「いちいち不安になるなんて、バカみたいじゃない?」
「…私だったら、行かないで、って言っちゃいそうです。」


だって、もしかしたら、二度と帰ってこないかもしれない。
たくさんたくさん、傷つくかもしれない。


「螢子さんは強いんですね。」
「…もう、慣れちゃったからね。」


本当は、不安だよ。


「…私には、さ。 なにもできないから。」
「…?」
「一緒に戦うことも、雪菜ちゃんみたいに傷を治すことも。」


できることなんて、数えるほどしかないの。
だけど、確実に、できることがあるから。


「だから私は、アイツの帰る場所でいたいのよ。」


何度挫けても、何度悔やんでも、ここに帰ってきてほしい。
何年でも、いつまでも、待つ自信はあるから。


ねぇ、だから。
帰ってきたらあなたに、とっておきの“おかえり”をあげる。






2006*0904