新年




「あけましておめでとうございます!」


艶やかな着物に身を包んだ雪菜が、それに負けないくらい華やかに笑った。
長い袖と結いあげた髪が揺れる。


「…派手じゃないか?」
「人間界ではこれくらいが普通なんですよ。」
「そうなのか…?」


初めて見る華やかな着物に、飛影は珍しいものを見るかのような顔をしていた。
いつも雪菜が着ている簡素な着物とは大違いである。


「新年と言っても、それは人間界での話だろ? 魔界には関係ないんだが。」
「そうですけど…でも、飛影さんにどうしてもご挨拶がしたくて。」
「…律儀なやつだ。」


雪菜の笑顔に飛影は苦笑してみせた。


「それに、このお着物も見てほしかったんです! 綺麗ですか?」
「………まぁな。」
「ありがとうございます!」


着物が、というより、そんなふうに笑う雪菜の方が綺麗だと思ったが、
飛影がそんなことを口に出すはずもなかった。


「飛影さん。」
「…ん?」
「今年もよろしくお願いしますね。」






2008*0116