高く結わえたツインテールの髪を揺らしながら現れた彼女は、白い水着を着ていた。 君にクラクラ 夏といえばプール。 ということで、いつものメンバーで近くのプールへ遊びに行くことになった。 女性陣の水着姿披露には、男性陣も色めき立った。 なかでも、プール初体験の雪菜は水着を着るのも初めてで、 桑原の熱い視線を受けている。 「雪菜さんっ! とっても似合ってますよっ!!」 「桑原、顔がやらしーぞ。」 「な、なに言ってんだ、浦飯! 雪菜さん! 誤解しないでくださいね! 決して不埒な気持ちはありませんから!!」 「はい。」 話がよくわかっていない雪菜は、相変わらず笑顔だった。 そんな雪菜の笑顔に桑原の体温はさらに上がる。 健全な男子の頭の中は正常に作動しているようだった。 そんな様子を蔵馬は苦笑しながら見ていた。 すると、静流が蔵馬にだけ聞こえるように話しかけた。 「雪菜ちゃんってさー、結構胸あると思わない?」 「なっ! …なんですか、いきなり。」 「スレンダー美人だと思ってたけど、意外よね。」 「…やめてくださいよ、そういう話題は。」 「健全男子がなに言ってんの。 好きでしょ、こういう話。」 「…静流さん…。」 完全にからかわれていると蔵馬は思った。 静流から逃れようと視線をそらすと、雪菜とばっちり目が合った。 雪菜は嬉しそうに蔵馬の方へとやってくる。 気づくと静流は、もう傍にはいなかった。 「プールってすごく広いんですね! 感動しました!」 「ホント? 人多いからはぐれないようにね。」 「はい! あ、泳ぎ方教えてくださいね。」 「うん。 うまく教えられるといいんだけど。」 雪菜はプールに来られたのが嬉しいようで、いつも以上にはしゃいでいた。 そんな雪菜を見て、蔵馬の頬も自然とゆるむ。 「蔵馬さん、雪菜ちゃん、早くおいでよー!」 遠くの方で螢子の呼ぶ声が聞こえた。 もうみんなプールの方へ行ってしまったようで、 幽助と桑原が泳ぎを競い合っているのが見えた。 「俺たちも行こうか。」 「はい!」 「…あ、ちょっと待って。」 「どうしたんですか?」 雪菜を呼び止めた蔵馬は、考える素振りをして雪菜を見た。 静流の言葉が頭を回る。 蔵馬は自分が来ていたパーカーを雪菜に着せた。 「これ着といて。」 「え、でも、濡れちゃいますよ?」 「うん、いいよ。」 「?」 「…俺が変なこと考えないように。」 蔵馬の言葉に、雪菜の疑問符はさらに増えた。 真夏の太陽の下、揺れるツインテールと白い肌。 そんな君に、僕はクラクラ。 2006/08/07 拍手公開 2006/09/23 加筆&再掲 戻 |