reason






「兄さんっ…!!」




血まみれのあなたを見るのはこれで何度目だろう。
なぜ戦うの。
なにを求めているの。
戦いの果てに、なにがあるの?




「ないんだ、理由なんて。」
「……。」
「ないんだ…なにも。」




知らなかったの。
あなたが戦う理由も。
あなたの心の傷も。


戦うのが好きなんだと思ってた。
強くなるのが好きなんだと思ってた。
なにも、知らなかったの。




目的がないんだとあなたは言った。
故郷を探して、妹を探して、氷泪石を探して。
それで終わったのだとあなたは言った。




「いかに死ぬかを考えるようになったんだ。」




それは今でも変わらないの?
だから、戦うの?
傷ついても傷ついても、その傷を忘れるために戦うの?




「戦いのない世界なんて知らないから。」




生きることがこんなにも難しくて。
不器用な私たちには目的がなくてはだめで。
存在理由が欲しくて。




私じゃ目的にはなれないの?
ならば、私はどこへでも行くよ。
そしたらあなたはまた、私を探してくれるのでしょう?
それが目的になるでしょう?




あなたのためにだったら、私はなんでもできるのよ。




















2006/08/07 拍手公開
2006/09/23 再掲