君が好きだよ
今がいちばん幸せ


Scene14:「I love you,You love me」





「文化祭最後のイベント、告白大会も残すところあと1組となりました!
 恋の女神は果たして微笑むのか!?では、指名された人を発表しますっ!」
司会のアナウンスに、会場は一気に静まり返った。

「彼女にしたい人ランキング第1位!中等部の白雪姫こと白鳥雪菜さんっ!
 ステージへお願いします!!」
会場から歓声が上がった。 視線が雪菜へと集まる。

当の雪菜はあまりのことに驚きを隠せないでいた。
友達の「早く!」と急かす声が聞こえて、途惑いながらもステージへと上がった。

「白鳥さん!今のお気持ちはどうですか!?」
「えっと…びっくりしてます…」
「困惑した顔も可愛い!さぁ、この白雪姫に告白を挑むのはいったい誰なのでしょうかっ!?」

会場の雰囲気に圧されながら、雪菜はステージ上から秀一の姿を探した。
彼は今、どんな想いでこのステージを見ているのだろう。

なにも気にしてくれてはいないのだろうか。



「さて、登場していただきましょう!白雪姫を指名したのは、この人だぁっ!!」
舞台の袖から姿を現した人物に、会場からどよめきと悲鳴にも似た黄色い声援が飛んだ。
異様なまでの盛り上がりを見せていた会場が、さらにヒートアップした。
会場を見渡していた雪菜は、現れた人物に視線を移して絶句した。

「そうですっ!ご存知、この人高等部の天才・南野秀一さんですっ!!
 満を持しての初登場!王子が白雪姫に愛を叫ぶーーーっ!!!」
わあぁぁぁぁぁっっっ!!
本人そっちのけでテンションの上がる会場。

未だに呆然としている雪菜に、秀一は微笑んでみせた。





「さぁっ!それでは、愛を伝えていただきましょうっ!」
秀一にマイクが手渡され、秀一は雪菜の方へと近寄った。

「突然こんなところに呼び出してごめんね。でも、どうしてもここで言いたいことがあったから」
秀一の言葉がしっかり聞こえるように、雪菜は秀一の瞳を見た。
「君と図書館で始めて会ったあのときから、毎回図書館に行くのが楽しみだったんだ。
 今日は君に会えるかな、話せるかなって、そんなことを考えてた」

あれだけうるさかった会場が嘘のように静寂に包まれている。
耳をふさいでいる女子もいたが、ほとんどの生徒が秀一の言葉に聞き入っていた。

「いつの間にか、君の存在や言葉が、俺の勇気になってた。君がいたから俺は自信を持てたんだ」
雪菜の瞳が揺れる。視界が霞む。
「たくさん傷つけたし、辛い思いもさせたけど、これからは俺がすべてを守るから。
 なにがあっても守るよ」

雪菜の頬を涙が伝った。
秀一の瞳が雪菜をとらえて離さない。


「君が、好きだよ」








待っていた言葉を、何度も何度も頭の中で繰り返した。
いつも傍にいて、いつも助けてくれた。
たくさんのものを与えてくれた。

ねぇ、大好き。








雪菜が駆け寄る方のが早かったのか、秀一が引き寄せる方のが早かったのか。
気づけばふたりは抱きしめ合っていた。

静まり返った会場から、再び歓声が上がった。
「恋の女神は微笑んだーーーっ!ここに1組のカップルが誕生しましたっ!
 みなさん、盛大なる拍手をお願いしますっ!!」

たくさんの拍手と歓声の中、秀一と雪菜は笑い合った。










「オメェー絶対歴史に残るぜ」
「大げさだなぁ」
「…泣かせたりなんかしたら、承知しねェーぞ」
「うん、わかってるよ」





「まさかここまでするとはねー。逆にすっきりしたかも」
「やりすぎかな、やっぱ」
「いいんじゃない?王子には相応しいよ」
「あははっ。ありがと」
「これからも友情は変わらないよね?」
「当たり前だよ」










どんな想いを犠牲にしても、貫きたい気持ちがあるんだ。










「先輩がイベントに参加するなんて、びっくりしました…」
「俺も、キャラじゃないかなーとは思ったんだけどね。ごめんね、目立つことして」
「いいえっ!本当言うと、嬉しかったです…」
「俺のものだって主張しておかないとね。白雪姫は人気者だから」
「なに言ってるんですか…!そんなこと、ありませんよ…」




「あのジンクスって、ホントなのかな」
「永遠の愛を誓えるっていう…?」
「うん。…でも、そんなジンクスなくても俺たちなら誓えるよね?」
「…はい!」




「先輩って目立つこと好きでしたっけ…?」
「ううん。嫌いだよ」
「えっ、だったら、なんで…?」
「だって俺、もう卒業しちゃうし」
「?」
「変な虫がついたら困るでしょ?」










始まりはあの図書館。
憧れたのは『ロミオとジュリエット』のような恋。

永遠の愛も真実の愛も、君になら誓えるよ。










秀一はそっと雪菜の頬に触れた。
甘い視線を受けて、雪菜は瞳を閉じた。










何度遠回りしても、何度迷っても、必ず君に辿り着く。

このあふれる想いを伝えたいから。

君に、伝えたいから。


ずっと傍にいるよ。










私の声が聞こえていますか。

私の愛を感じていますか。

私の心はあなたへの愛であふれているの。

この想いは止められない。



あなたの瞳にはなにが映っていますか?

私を見てくれますか?

この想いをあなたに伝えたい。





だって、私はあなたを愛しているから。















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ここまで付き合ってくださってありがとうございました!
初パラレル・初蔵雪連載で、どうなることかと思いましたが、
無事終わることができて安心しております。
王子様と白雪姫の恋は学校の歴史に残るんだろうなーと思います(笑)
またこのふたりが書けたらななんて思ってたり思ってなかったり…(どっち)
恋愛色の強い話でしたので、ちょっと書きにくかったりもしましたが楽しかったですv
応援してくださった皆様、本当にありがとうございました☆彡
2006*1128



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